自律神経とは?
脳・脊髄から枝分かれし全身に広がる神経
自律神経を理解するには、神経全般について知っていただく必要があります。神経には、中枢神経と末梢神経があります。中枢神経は脳や脊髄に通っており、全神経の司令塔としての役割をになっています。
末梢神経は、脳と脊髄から枝分かれして全身に広がっています。末梢神経には運動神経(自分の意志でコントロールできる)、感覚神経、自律神経の3種類があります。
自律神経には緊張時に働く交感神経(心身を緊張、興奮させる)と、リラックスしている時に働く副交感神経があり、この2つの神経がバランスよく機能することで、私たちは日中に活動的になったり、夜が来るとスムーズに眠ることができます。
また内臓機能や血管の収縮・拡張機能、尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)や膀胱直腸機能を司ることも、自律神経の重要な役割のひとつです。
自律神経が乱れると・・
交感神経と副交感神経のメリハリがなくなってきます。
例えば)
・暑いときに汗をかけない
・寒いときに体が温まらない
など体温や血圧の調節が不安定になる。
また最近多いのが、常に交感神経が高ぶって緊張状態が続き、副交感神経がしっかりと働かない為、休息モードに切り替えられないので寝つきが悪いパターンです。この状態が続くと血流自体が悪くなり、高血圧、肩こり、便秘、頭痛などの全身不調につながります。
自律神経失調症とは? Dysautonomia
日常の不規則な生活習慣などにより、身体を働かせる自律神経のバランスが乱れるためにおこる様々な身体の不調のことです。
病院で検査をしても、内臓や器官の病変によるものではないので、「異常ありません」と診断されてしまうことも・・
『自律神経失調症』(Dysautonomia)の症状としては、精神的に落ち込んだり、体の一部が痛くなったり、具合が悪くなったり・・と人それぞれで、いくつか重なって症状があらわれたり、症状が出たり消えたりする場合もあります。
なぜなら自律神経系の様々な自覚症状の為、症状のあらわれ方が非常に不安定な為です。
また、遺伝による体質や、性格、ストレスの感じ方により症状の出方も様々であると言われ、治療は心身両面から柔軟に行うことが必要となってきます。
正式な病名ではない為、自覚症状があるのに病院で検査をしても異常がみつからないときなどに、自律神経失調症と診断されることが多く、別の病名がつくはずのものも安易に自律神経失調症と診断されるケースも少なからずあるようです。
以下のような病気は自律神経失調症の一種もしくは仲間ともいえます。
自律神経失調症と関係性の深い病気
口腔外科 | 顎関節症・舌痛症・口内異常感症 |
呼吸器系 | 気管支ぜんそく・過呼吸症候群 |
循環器系 | 起立失調症候群・起立性調節障害・心臓神経症・不整脈 |
耳鼻科 | 咽喉頭異常感症・めまい・メニエール病・乗り物酔い |
神経系 | 偏頭痛・緊張性頭痛 |
消化器系 | 神経性下痢・過敏性大腸症候群・神経症嘔吐症・反復性臍疝痛・胆道ジスキネジー |
皮膚科 | 発汗異常・円形脱毛症・慢性じんましん |
婦人科 | 更年期障害 |
泌尿器系 | 夜尿症・心因性排尿障害・膀胱神経症 |
自律神経失調症の原因は
症状が一人一人違うように、原因もまた一人一人違います。
自律神経のバランスが乱れるのには、いろいろな以下の表のような原因が複雑にからみあっていると言われています。
不安症 | 色々なことを不安に考えてしまう・自分が犯してしまった大きなミス・将来に対する不安・仕事環境への不安・家庭内の不安 |
生活のリズムの乱れ | 夜更かし・夜型の生活・不規則な生活習慣・自然な人体のリズムを無視したライフスタイル |
過度なストレス | 社会的ストレス・人間関係・精神的ストレス・生活環境の変化・職場環境の変化 |
ストレスに弱い体質 | 下痢しやすい・自家中毒・環境がかわると眠れない・子供の頃からすぐ吐く・生まれつき自律神経が過敏・思春期・更年期・身体が弱っているとき |
ストレスに弱い性格 | 感情処理が下手・Noと言えない・気持ちの切り替えができない・他人の評価を気にしすぎる・他人と信頼関係を結ぶのが苦手・依存心が強い |
女性ホルモンの影響 | 女性は一生を通じてホルモンのリズムが変化しつづけ、この変化が自律神経の働きに影響を与えます。 |
骨格のバランス | 骨格が歪むと神経伝達の流れが悪い状態になります。 |
自律神経失調症になると・・・
主な不調や症状について、頭痛・耳鳴り・疲れ目・動悸・息切れ・手足のしびれや痛み・胃の不快感や吐き気・下痢・便秘・肩こり・筋肉の痛み・生理不順・早漏・射精不能・・
などの症状が、単独あるいは複数重なって現われるのが、自律神経失調症なのです。
全身症状としては、めまい・微熱が続く・倦怠感・疲れやすい・ふらふらして力が入らない・全身のほてり・食欲がない・睡眠障害・朝起きるのがつらい、などがみられます。
また、精神症状として、イライラする・怒りっぽくなる・不安感や恐怖心におそわれる・記憶力や集中力の低下・やる気が出ない・すぐに悲しくなって落ち込む、などがあります。